自社サービスの展示会出展において書籍を配布することが決まり、短期間で仕上げることとなりました。制作において理想的なチーム活動があり、その際のリーダーシップ像を振り返り考えてみました。
書籍作成のチーム構成と制作の流れ
原稿はプロダクトオーナーとライターで対応、書籍の表紙やイラスト、組版などは弊社デザインチームで行います。デザインチームのメンバーは、ベテラン、中堅2名、入社2~3年の若手2名からなり、現状Webを対象とした業務が主で紙の経験者はベテランのみです。また、メンバーは、東京オフィス勤務、福岡オフィス勤務、テレワークと場所もバラバラでした。
超短期での対応であれば、リーダーを頂点に中央集権型のチームとして細かく計画を立て、タスクの進捗を管理していく機械的な進め方も考えられますが、当社はアジャイルでの開発スタイルを主としており、自然とデザインチームが開発者の位置づけでスクラムチームが構成されました。
- スプリントの計画(スプリントバックログ)を作成する。
- 完成の定義を忠実に守ることにより品質を作り込む。
- スプリントゴールに向けて毎日計画を適応させる。
- 専⾨家としてお互いに責任を持つ。
(引用:スクラムガイド 2020年11月 https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf)
大枠の章立てや書籍の方向性、ボリューム感、入稿期日から逆算してチーム全体で合意したスケジュールを立てた後、デザインチーム内で得意とする内容や業務状況に応じてチーム内で役割分担が行われ、早々に着手できる体制ができあがります。
制作作業では、それぞれのメンバーが担当の責任者としてプロダクトオーナーやライターとの調整、制作を進めていきます。制作過程においては、課題があれば適時チーム内で相談(グループチャットが主)し、成果物についてはチーム内でレビューするなど、メンバーが連携して活動します。
特に紙経験がないメンバーからすれば未知のものが多々ある状況でしたが、それぞれがリーダーシップを発揮しながら、かつ、サポート等必要なときはフォロワーとなり限られた時間内での対応を効率的にこなしていました。
シェアード・リーダーシップについて
今回は書籍制作という短期間での対応ではありますが、紙の制作経験が無いメンバーが多数を占める中において、経験関係なく、リーダーシップとフォロワーとしてのサポートが行われておりまさにシェアード・リーダーシップが発揮された状態でした。
シェアード・リーダーシップは、垂直的なリーダーシップではなく水平的なリーダーシップとして、ある時はリーダー、ある時はフォロワーとなり、リーダーが流動的に変わる特徴があります。チームパフォーマンス向上やモチベーション向上などが期待できます。
今回シェアード・リーダーシップが機能した主なポイント
判断や意思決定の軸となる書籍の目的やサービス自体のビジョンが共有されており、制作の方向性における迷いが少ない。ゴールやビジョンの共有やメンバーの理解など時間がかかるものですが、既に同一プロダクトに関わっているメンバーが多いこともあり(タックマンモデルで言えば統一期~機能期からのチームスタートに近いでしょうか)、その部分は大きな要因でした。
年齢・経験関係なく、担当におけるプロフェッショナルとして発言できる関係性であり、個々がリーダーシップ力を発揮しやすい。ベテランもプロフェッショナルとしての遠慮ないフィードバックをしますが、メンバーは真摯に受け止め対応している。
リーダーシップの発揮とフォロワーとしてのメンバーサポートが自然とできており、ゴールに向けた効果的なチーム活動が行われている。
シェアード・リーダーシップは一つのやり方であり全てではありませんが、変化に柔軟に対応しパフォーマンスを発揮できるチームを作ることはとても重要です。マネジメントする側としては、場面やチームの成熟度に応じてどういうリーダーシップを機能させるかを考え、チーム環境の整備し、メンバーのポテンシャルを引きだし成果を出していくことが必要となります。